羅臼岳で痛ましい事故が起きてしまいました。今日の朝刊には被害に遭われた方に付着していた体毛などと駆除された親熊のDNA型が一致したと報道されています。

子を連れた親熊が危険を冒してまで執拗に食害に至るまで人を襲うだろうかとちょっと疑問に思い、駆除された親子以外に人を襲ったヒグマがいるのではないかとちょっと不安に思っていたのですが、この報道でそのようなことはないことがわかりました。
子を連れた母グマが子を守るために人に攻撃を加えることはよく知られています。ただ今回の母グマは食害をしていました。異常なヒグマだったと思われます。
なぜこのような異常な行動をとったのかは私にはわかりません。しかし、この母グマの異常行動の影には人間の問題行動があったようにどうしても思ってしまいます。
野生動物に餌を与えることは絶対に行ってはいけません。与えた野生動物に必ず不幸が訪れます。そして、今回のようにその不幸は人にも及ぶ可能性があります。
以下は私が最近感じていることです。私の生活圏はどちらかというと山の中、民家のない地域での活動が多いです。そんな山の中でここ10年ほどでキャンピングカーを目にすることが多くなっています。キャンピングカーを利用する高齢者が山の中でゴミを捨てたり野生動物に餌を与えている姿を目撃したことは1度ではありません。川にかかる橋の下にはコンビニのレジ袋に入ったゴミをよく目にします。そのような安易に手に入る餌を野生動物が見逃すはずはありません。
野生動物の異常行動に導いているのは間違いなくマナーの欠落した人間です。
ゴミのポイ捨てや野生動物への餌やりは絶対にやめて下さい。

今年に入って今日まで私は10頭以上のヒグマを見ました。特に多くも少なくもなくいつも通りだと思います。
通常ヒグマの食べ物のほとんどは植物で動物食のほとんどはアリなどの昆虫が多くなります。今時期は道路の縁石や舗装の際のアリの巣を求めてドライバーの目につく場所に出てきます。先日も浮島トンネル付近の国道でアリを食べているヒグマの親子がいました。
いつもと違うのはその親子を5台ほどの自動車が停車して眺めていたことです。こういったことを繰り返せばヒグマは自動車を恐れなくなるでしょう。不用意に出てきて交通事故が起きるかもしれません。
スマホを構えてヒグマを見ている人には申し訳ないですが、私はその車列を追い越しヒグマたちの脇を通って先を急ぎました。そのヒグマ親子は私がすぐ脇を自動車で通過したにもかかわらずアリを貪っていました。自動車を全く恐れていないようです。やはり慣れてしまっているようです。
釧路地方のヒグマの食性がエゾシカに偏ってきているとの報道を目にしました。羅臼町の路上でエゾシカを襲うヒグマの姿は衝撃でしたね。彼らの食性が変化していることも認めなくてはなりません。通常ヒグマの糞はそんなに臭い匂いはしないのですが、先日私たちの住む地域の路上にあったヒグマの糞は大変くさい匂いがして植物ではなく肉(エゾシカ)を食しているのではないかと想像できます。

今年の浮島湿原でも遊歩道にはヒグマの食痕が見られます。ミズバショウの葉や実も齧っているようです。

私たちはお客様が心配なく自然での活動を楽しめるようヒグマ対策に努めています。ツアー前には下見を実施しています。出会わない努力と出会った時の対応、そして彼らが近づき過ぎた場合は熊スプレーを使用します。また、使いたくはないですが万が一襲われた場合の最終手段として鉈(ナガサ)を所持しています。相手は野生動物ですのでいつ姿を表すかはわかりません。近くにいると考えられる場合はツアーを中止させていただきます。お客様の安全はもちろんですが、野生で生きるヒグマについても駆除という不幸な選択とならないためでもあります。
私たちは彼らの領域で遊ばせてもらっています。その感謝を忘れてはなりません。当然侵害してもなりません。ヒグマが生きる自然こそ北海道の美しい姿なのですから。
